自己査定はどのよう行われるか

 銀行から融資を受けている企業は全て、銀行の自己査定=資産査定という作業により査定されています。この自己査定という作業は年に2回あります。
 支店において、支店の融資先を査定した後、金融庁から、その査定が正しいのかどうかヒアリングを受けます。支店長と融資担当者が銀行の本部に呼ばれ、そこでヒアリングは行われます。もし、支店の査定が甘い企業があると、金融庁の職員から厳しく追及され、査定のランクを落とされることもあります。  
 自己査定により、企業は「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」の5ランクに分けられます。また、要注意先の中でも悪い方の企業は、「要注意先」の中の「要管理先」となります。
 この自己査定により「要注意先」以下とされた企業に対し、銀行は融資を絞ります。「要注意先」はまだ少しは融資を受けられる可能性があるのですが、「要管理先」「破綻懸念先」以下は、まず融資を受けることは不可能となります。
 そのため、あなたの会社が「要注意先」以下とならないよう、注意が必要です。「要注意先」以下にならないためには、営業利益もしくは経常利益が赤字とならないことが第一です。
 銀行の担当者に、あなたの会社が「正常先」か「要注意先」以下か、また「要注意先」以下にならないためにはどういう点に気を付けたら良いか、聞いてみるのも良いでしょう。しかし銀行員は、そのことについてなかなか教えてくれないので、難しいところです。

正常先とは?

  正常先とは、業況が良好であり、かつ、財務内容にも特段の問題がないと認められる企業をいいます。
 銀行から正常先に認定してもらえないと、融資審査が厳しくなったり、金利引き上げを迫られたりと、企業にとって不利なことが多くなるので、企業は正常先に認定してもらえるよう、手を尽くさねばなりません。

要注意先とは?

 要注意先とは、金利減免・棚上げを行っているなど貸出条件に問題のある企業、元本返済若しくは利息支払いが事実上延滞しているなど履行状況に問題がある企業のほか、業況が低調ないしは不安定な債務者又は財務内容に問題がある企業など今後の管理に注意を要する企業を言います。また、要注意先の中でも2つに分けられます。一般の要注意先と、要管理先です。

要管理先とは?

 要注意先とは、要注意先に区分される企業の中でも、融資の全部または一部が要管理債権である企業を言います。

要管理債権とは?

 3か月以上延滞したり、金利減免などの条件緩和を行った融資のことを言います。経営難で破たんする可能性の高い「危険債権」や、再建の見込みがなかったり、実際に倒産した「破産更生等債権」と合わせて不良債権と定義されます。

破綻懸念先とは?

 破綻懸念先とは、現状、経営破綻の状況にはないが、経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる企業(金融機関等の支援継続中の企業を含む)をいいます。
 具体的には、現状、事業を継続しているが、実質債務超過の状態に陥っており、業況が著しく低調で融資が延滞状態にあるなど元本及び利息の最終の返済について重大な懸念があり、従って金融機関の損失の発生の可能性が高い状況で、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる企業を言います。

実質破綻先とは?

 実質破綻先とは、法的・形式的な経営破綻の事実は発生していないものの、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがない状況にあると認められるなど実質的に経営破綻に陥っている企業を言います。
 具体的には、事業を形式的には継続しているが、財務内容において多額の不良資産を内包し、あるいは企業の返済能力に比して明らかに過大な借入金が残存し、実質的に大幅な債務超過の状態に相当期間陥っており、事業好転の見通しがない状況、天災、事故、経済情勢の急変等により多大な損失を被り(あるいは、これらに類する事由が生じており)、再建の見通しがない状況で、元金又は利息について実質的に長期間延滞している企業などを言います。

破綻先とは?

 破綻先とは、法的・形式的な経営破綻の事実が発生している企業をいい、例えば、破産、清算、会社整理、会社更生、民事再生、手形交換所の取引停止処分等の事由により経営破綻に陥っている企業を言います。

貸出条件緩和債権とは?

 貸出条件緩和債権とは、債務者の経営再建または支援を図ることを目的として、金利の減免、利息の支払猶予、元本の返済猶予、債権放棄その他の債務者に有利となる取決めを行った貸出金で、破綻先債権、延滞債権および3ヵ月以上延滞債権に該当しないものを言います。
 貸出条件緩和債権となる融資が存在する企業は、要管理先以下となります。

信用格付はどのように決まるか

 銀行は決算書をもらったら何をするかといいますと、財務分析をします。
 支店ででも、本部でもできるのですが、決算書の内容を端末で登録します。
 そして、様々な比率を計算して、帳票に打ち出します。帳票に打ち出すものは、  
 ・安全性を見るために
    流動比率(流動資産を流動負債で割ったもの)
    当座比率(当座資産=現預金+売掛金+受取手形+売買目的有価証券を流動負債で割ったもの。)
    固定長期適合率(固定資産を固定負債+資本で割ったもの)」
 ・収益性を見るために
    売上高経常利益率(経常利益を売上高で割ったもの)
    総資産経常利益率(経常利益を総資産で割ったもの)
 ・他に
    インタレストカバレッジレシオ(受取利息配当金+営業利益を支払利息で割ったもの)
    経常収支比率(実際の現金収入を現金支出で割ったもの)
    債務償還年数(借入金+社債を経常利益+減価償却費で割ったもの)
 などです。人間が計算しなくても、コンピュータが勝手に比率をはじきだしてくれます。
 そしてもう一つ、先ほどの決算書の分析を「定量要因」分析としますと、「定性要因」も分析します。
 ・経営者の能力
 ・業界内での当社の地位
 ・後継者の有無
 ・市場の魅力度
 ・含み資産の有無
 ・研究開発力
 などです。それらを銀行の担当者の主観でポイント化します。
 そして、財務比率と定性要因をそれぞれ細かくポイント化し、合計点数で格付をつけます。例えば、1〜10段階に分けたりします。
 また、「要注意先」は点数に関係なく7格、「破綻懸念先」は8格、「実質破綻先」は9格、「破綻先」は10格というように、自己査定で要注意先以下に分類された企業は格付は自動的に低くされます。
 格付は、何に使われるかといいますと、
 ・審査部が融資審査するときの参考資料
 ・格付ごとの基準金利
 などです。
 格付によって、融資が出やすくなったり、金利を安くしてもらえたりしますので、銀行の格付を良くするように決算をもっていくことは大事なことです。
 どうすれば良いのかといいますと、当たり前のことですが、先ほど申し上げた財務比率を良くすればいいのです。特に、借入金を長期借入金にするか、短期借入金にするかは、流動比率、当座比率を大きく変化させるので、できることなら、長期借入金に分類可能であればそうした方が良いでしょう。
 あと、税金の関係で利益の計上はためらうところですが、利益は下手に少なくしない方が良いでしょう。
 ほか、日頃から銀行の担当者にアピールして、経営者の能力などの定性要因のポイントを担当者が高くつけるよう仕向けることも大事です。定性要因のポイントはたいてい銀行の担当者の主観によってどっちにも転ぶので、大きなことを言っておけば銀行の担当者はだまされてポイントを高くするでしょう。

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