企業格付と節税との関係

 今までの日本の経営者は、節税を一番に考えて決算書を作っている方が多かったように思います。
 決算書での節税、それは大きな利益を出さず、ぎりぎりの黒字を出すことにより税金支払いを最低限に抑えるということです。
 私の銀行員時代の顧客でも、売上は何億円にもかかわらず当期利益が何十万円というような企業をよく見かけました。
 しかし、現在の日本の銀行が企業に融資をする時に一番重要視することは、企業ごとの「格付」です。この信用格付制度は、自己資本と利益を重視したものです。
 節税のために、今までの決算で利益を抑えていた企業は、当然のことながら自己資本は少なく、また利益も少なくなっています。つまり、そういった企業は、節税効果により税金支払いを抑えてきた代わりに、「格付」を落としているのです。
 銀行は「格付」により、企業に融資をするかしないか、基準とする金利はいくらか、決定します。
 これからの企業は、節税するが「格付」を落とすか、税金はしっかり納めるが「格付」を上げるか、選択が迫られています。
 どちらが良い戦略かは企業ごとに違うと思いますが、今後、銀行から融資を受けやすく、またより低い金利で融資を受けるためには、節税よりも、利益をしっかりと出して「格付」を上げることが必要でしょう。

バランスシート

決算書は黒字なのに銀行の担当者から、御社は「実質債務超過」なので追加の融資はできません。と言われたことはありませんか?

決算書のバランスシートに記載されている価格を「帳簿価格=簿価」といいますが、この簿価は当初の価格がそのまま記載されているケースが多いと思います。

簿価ベースで決算書を作成しバランスシート上の資本の部が黒字であっても銀行の見方は「簿価」ではなく「時価」で算出しなおします。

すると、資産の部に計上されている値下がりした不動産や償却していない研究開発費、開業費等は「時価」ベースに減額されてしまい、負債が資産を上回る債務超過と判定されることになります。

また、特に事業に関係のない不動産で利益を生まないもの、例えば別荘などは時価よりも相当低い価格に減額されることがありますので注意が必要です。

 

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資金繰りと損益の違い

損益とは文字通り「損」と「益」で会社の儲け(或いは損失)を表します。

この損益は、売上から費用を引いたものですが、費用の中にはおカネの支出とイコールではないものが含まれます。

例えば減価償却費です。

減価償却出来る資産を100円で購入した時には、代金は100円支払いますが、会社の損益上は10年償却のものであれば100円の1/10の10円しか費用として計上されません。

会社の利益が50円でも資金繰り上は、

100円−10円=90円

50円−90円=−40円

となってしまします。

まさに「勘定合ってカネ足らず」です。

また、借入金の返済は損益上の費用ではありません。

利益が50円出ていても、借入金の返済が100円あれば資金繰りは−50円の赤字です。

資金繰りの構成要素

資金繰りとはまさにおカネの出入りです。

おカネの出入りで重要なのが「時間=いつ出入りがあるのか」です。

給料の支払い日が25日で売上金の入金日が月末で資金繰りが厳しい、というのは時間のズレはほんの少しですので影響は小さいですが、仕入代金の支払いサイトと売上金の入金サイトのが大きく違う場合、例えば仕入代金の支払いは月末〆翌月払い、売上金の入金は月末〆3ヶ月後払いで、商品仕入から販売まで1ヶ月とすると、サイトのズレは2ヶ月+1カ月=3ヶ月となります。

この状態は、仕入3ヶ月分の資金が無いと資金繰りがつかないということです。

資金繰りの最大のポイントは仕入と販売の支払い入金サイトのズレです。

逆に言えば、資金繰りを付けられる最大の要因はこのサイトのズレの修正です。

借入しても良い状態は?

①運転資金=仕入代金の支払いと売上代金の入金のズレの金額

ただし、売上代金の入金が確実に見込める場合

②長期借入=資産(設備投資)を購入する代金

ただし、減価償却しても利益が出る状態でかつ借入金の返済条件が減価償却のスケジュールと一致している場合

この様な状態のときには、健全な借入として銀行は融資を実行してくれます。

 

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資産査定と格付け

自己査定はどのよう行われるか

 銀行から融資を受けている企業は全て、銀行の自己査定=資産査定という作業により査定されています。この自己査定という作業は年に2回あります。
 支店において、支店の融資先を査定した後、金融庁から、その査定が正しいのかどうかヒアリングを受けます。支店長と融資担当者が銀行の本部に呼ばれ、そこでヒアリングは行われます。もし、支店の査定が甘い企業があると、金融庁の職員から厳しく追及され、査定のランクを落とされることもあります。  
 自己査定により、企業は「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」の5ランクに分けられます。また、要注意先の中でも悪い方の企業は、「要注意先」の中の「要管理先」となります。
 この自己査定により「要注意先」以下とされた企業に対し、銀行は融資を絞ります。「要注意先」はまだ少しは融資を受けられる可能性があるのですが、「要管理先」「破綻懸念先」以下は、まず融資を受けることは不可能となります。
 そのため、あなたの会社が「要注意先」以下とならないよう、注意が必要です。「要注意先」以下にならないためには、営業利益もしくは経常利益が赤字とならないことが第一です。
 銀行の担当者に、あなたの会社が「正常先」か「要注意先」以下か、また「要注意先」以下にならないためにはどういう点に気を付けたら良いか、聞いてみるのも良いでしょう。しかし銀行員は、そのことについてなかなか教えてくれないので、難しいところです。

正常先とは?

  正常先とは、業況が良好であり、かつ、財務内容にも特段の問題がないと認められる企業をいいます。
 銀行から正常先に認定してもらえないと、融資審査が厳しくなったり、金利引き上げを迫られたりと、企業にとって不利なことが多くなるので、企業は正常先に認定してもらえるよう、手を尽くさねばなりません。

要注意先とは?

 要注意先とは、金利減免・棚上げを行っているなど貸出条件に問題のある企業、元本返済若しくは利息支払いが事実上延滞しているなど履行状況に問題がある企業のほか、業況が低調ないしは不安定な債務者又は財務内容に問題がある企業など今後の管理に注意を要する企業を言います。また、要注意先の中でも2つに分けられます。一般の要注意先と、要管理先です。

要管理先とは?

 要注意先とは、要注意先に区分される企業の中でも、融資の全部または一部が要管理債権である企業を言います。

要管理債権とは?

 3か月以上延滞したり、金利減免などの条件緩和を行った融資のことを言います。経営難で破たんする可能性の高い「危険債権」や、再建の見込みがなかったり、実際に倒産した「破産更生等債権」と合わせて不良債権と定義されます。

破綻懸念先とは?

 破綻懸念先とは、現状、経営破綻の状況にはないが、経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる企業(金融機関等の支援継続中の企業を含む)をいいます。
 具体的には、現状、事業を継続しているが、実質債務超過の状態に陥っており、業況が著しく低調で融資が延滞状態にあるなど元本及び利息の最終の返済について重大な懸念があり、従って金融機関の損失の発生の可能性が高い状況で、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる企業を言います。

実質破綻先とは?

 実質破綻先とは、法的・形式的な経営破綻の事実は発生していないものの、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがない状況にあると認められるなど実質的に経営破綻に陥っている企業を言います。
 具体的には、事業を形式的には継続しているが、財務内容において多額の不良資産を内包し、あるいは企業の返済能力に比して明らかに過大な借入金が残存し、実質的に大幅な債務超過の状態に相当期間陥っており、事業好転の見通しがない状況、天災、事故、経済情勢の急変等により多大な損失を被り(あるいは、これらに類する事由が生じており)、再建の見通しがない状況で、元金又は利息について実質的に長期間延滞している企業などを言います。

破綻先とは?

 破綻先とは、法的・形式的な経営破綻の事実が発生している企業をいい、例えば、破産、清算、会社整理、会社更生、民事再生、手形交換所の取引停止処分等の事由により経営破綻に陥っている企業を言います。

貸出条件緩和債権とは?

 貸出条件緩和債権とは、債務者の経営再建または支援を図ることを目的として、金利の減免、利息の支払猶予、元本の返済猶予、債権放棄その他の債務者に有利となる取決めを行った貸出金で、破綻先債権、延滞債権および3ヵ月以上延滞債権に該当しないものを言います。
 貸出条件緩和債権となる融資が存在する企業は、要管理先以下となります。

信用格付はどのように決まるか

 銀行は決算書をもらったら何をするかといいますと、財務分析をします。
 支店ででも、本部でもできるのですが、決算書の内容を端末で登録します。
 そして、様々な比率を計算して、帳票に打ち出します。帳票に打ち出すものは、  
 ・安全性を見るために
    流動比率(流動資産を流動負債で割ったもの)
    当座比率(当座資産=現預金+売掛金+受取手形+売買目的有価証券を流動負債で割ったもの。)
    固定長期適合率(固定資産を固定負債+資本で割ったもの)」
 ・収益性を見るために
    売上高経常利益率(経常利益を売上高で割ったもの)
    総資産経常利益率(経常利益を総資産で割ったもの)
 ・他に
    インタレストカバレッジレシオ(受取利息配当金+営業利益を支払利息で割ったもの)
    経常収支比率(実際の現金収入を現金支出で割ったもの)
    債務償還年数(借入金+社債を経常利益+減価償却費で割ったもの)
 などです。人間が計算しなくても、コンピュータが勝手に比率をはじきだしてくれます。
 そしてもう一つ、先ほどの決算書の分析を「定量要因」分析としますと、「定性要因」も分析します。
 ・経営者の能力
 ・業界内での当社の地位
 ・後継者の有無
 ・市場の魅力度
 ・含み資産の有無
 ・研究開発力
 などです。それらを銀行の担当者の主観でポイント化します。
 そして、財務比率と定性要因をそれぞれ細かくポイント化し、合計点数で格付をつけます。例えば、1〜10段階に分けたりします。
 また、「要注意先」は点数に関係なく7格、「破綻懸念先」は8格、「実質破綻先」は9格、「破綻先」は10格というように、自己査定で要注意先以下に分類された企業は格付は自動的に低くされます。
 格付は、何に使われるかといいますと、
 ・審査部が融資審査するときの参考資料
 ・格付ごとの基準金利
 などです。
 格付によって、融資が出やすくなったり、金利を安くしてもらえたりしますので、銀行の格付を良くするように決算をもっていくことは大事なことです。
 どうすれば良いのかといいますと、当たり前のことですが、先ほど申し上げた財務比率を良くすればいいのです。特に、借入金を長期借入金にするか、短期借入金にするかは、流動比率、当座比率を大きく変化させるので、できることなら、長期借入金に分類可能であればそうした方が良いでしょう。
 あと、税金の関係で利益の計上はためらうところですが、利益は下手に少なくしない方が良いでしょう。
 ほか、日頃から銀行の担当者にアピールして、経営者の能力などの定性要因のポイントを担当者が高くつけるよう仕向けることも大事です。定性要因のポイントはたいてい銀行の担当者の主観によってどっちにも転ぶので、大きなことを言っておけば銀行の担当者はだまされてポイントを高くするでしょう。

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人口約8,700万人(2010年)のベトナムの首都は、ハノイです。一方ベトナム最大の700万人以上の人口を誇る南部の大都市ホーチミンは商業の中心として機能しています。

主要な産業は伝統的に強みをもつ農林水産業、鉱業、繊維などの軽工業に加え、近年では外資系企業の進出などを追い風に電子機器などを中心に製造業も伸びています。豊富な労働力と相対的に低い賃金水準のメリットを生かし中国に次ぐ世界の工場へと成長することが期待されています。

貿易では国内精製所の稼動にともない原油の輸出は減少傾向にあるものの、エビや米など農水産物やその他一次産品、アパレルや履物などの工業製品のほか、近年の外資系製造業の投資拡大を背景に電気機器や機械などの輸出が順調に伸びています。一方、輸入では国内消費の拡大に伴う各種消費財のほか、製造拠点としての能力拡充を図るために工作機械や各種原材料などが増加しており、貿易面でもベトナムの経済成長と工業化を目指す活発な動きが伺えます。

対外的にも過去の経緯から必ずしも良好な関係には無かった中国との貿易が近年大きく拡大しつつあるほか、ASEAN域内での活発な貿易が続くなど、経済成長に先行する近隣国に囲まれている地理的なメリットもベトナムの発展を後押ししています。

ベトナムの通貨は「ドン(Dong)」で、1,000ドンは約3.7円(2011年9月13日現在)です。

ベトナムの特徴として新興国にありがちな国内での民族や宗教的な争いや、格差が総じて少ない点があげられます。こうした好環境や人口の規模などを踏まえ、経済成長においてはしばしばベトナムは東南アジアでもより日本に近い発展プロセスを遂げる可能性が指摘されており、代表的な新興国であるBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)に次ぐ成長国として、ベトナムが注目を集める要因となっています。

金融危機の影響により先進国向け輸出への依存度が高かったアジア各国が軒並みマイナス成長となった2009年でも、内需の拡大を基盤にベトナムはGDP成長率5%台のプラス成長を維持しました。また2010年はGDP成長率6.8%を記録したほか、2011年以降も安定的に6%台の成長を維持する見通しで、統計的にもベトナムの成長力が際立っています。

一方、昨年から新興国経済の懸念材料となっているインフレは、ベトナムにも影響を与えています。2011年のインフレ率は2ケタに達する見込みで、物価の制御が大きな課題となっています。ただベトナム政府も過去のインフレ対応で後手を踏み物価高騰を招いてしまった経験をふまえて機動的な政策実施を進めており、政策の効果が期待できる2012年には落ち着きを取り戻すものとみられます。

インフレに並ぶベトナムのもうひとつの問題が慢性的な経常赤字です。経常赤字は主にベトナムが工業化を進めるための輸入拡大を背景とした貿易赤字によるものであり、将来の成長基盤を形成する先行投資と考えるべきでしょう。またベトナム政府は財政赤字の制御にも積極的に取り組んでおり、今後緩やかながら財政赤字幅も縮小傾向をたどるものと見られます。

ベトナム基本情報

国名:        ベトナム社会主義共和国
人口:       9000万人 平均年齢30歳
識字率:     94%
国家予算:   210億ドル
貿易収支: -120億ドル
GDP:      1015億ドル(2010年)長野県と同規模
主要産業:   繊維・履物・原油・米・コーヒー・水産物
宗教:       仏教80%
経済概況

(1) 1989年頃よりドイモイの成果が上がり始め、1995年〜1996年には9%台の高い経済成長を続けた。しかし、1997年に入り、成長率の鈍化等の傾向が表面化したのに加え、アジア経済危機の影響を受け、外国直接投資が急減し、1999年の成長率は4.8%に低下した。

(2) 2000年代に入り、海外直接投資も順調に増加し、2000年〜2010年の平均経済成長率は7.26%と高成長を達成した。2009年は世界経済危機の中で政府の積極財政・金融緩和が奏功し5.3%、2010年は当初の目標である6.5%を上回り、6.8%成長を達成した。しかし、急速な物価上昇、自国通貨の不安定化など、マクロ経済状況は不透明である。この状況を受けて、政府は2011年の経済運営に関し、マクロ経済の安定化とインフレ対策を最重要課題として挙げている。

(3) 近年ベトナムは一層の市場経済化と国際経済への統合を推し進めており、2007年1月、WTOに正式加盟を果たしたが、慢性的な貿易赤字、未成熟な投資環境等懸念材料も残っている。

(4) 昨年後半から中国の人件費高騰、レアメタル問題等を受け、日本国内では親日のベトナムへの投資が注目されており、政民挙げてのPPP推進の機運が高まっている。原発・新幹線の採用は内定。

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2011/10/26
ホームページをアップしました。
2011/9/1
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2011/4/1
ベトナムの大手証券会社バオベト証券と業務提携しました。

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